今年の桜も今回の雨で終わりになった。
今年は天候不順で開花直後、寒気による急激の冷え込みで、その後の花の開きが遅れたかと思うと、今度は急激に温度が上がり、花が満開に近づいたかと思ったら、連日の雨、本当に安心してお花見を楽しめなかった気がする。
それでも、満開の時期には早かったが、何とか天気の崩れる前に山梨の桜を堪能できた。
そして、我が家の桜も1日だけであったが、たまたまの晴れ間の中、満開となった。
西欧では桜は食品にするため、実を大きくすることを考えてきたが、日本では主に花を変化させたり、多くの花をつけるために努力が行われてきた。だから、その花の量は他の種類の植物を圧倒する。
そしてソメイヨシノやエドヒガンザクラ等のように日本人に好まれている桜の花が他の「バラ目・バラ科・サクラ属」の梅や桃と比べて、何がすごいかと言うと、枝から何本もの長い花柄が出て、花芽が房状につくことにより、枝本体が見えず、花数が多くとても華やかでふっくらと見え、その上花びらの先が割れていることで花がより大きく見えることである。
そして、一気に散る 散り際の美しさである。
それゆえにその潔さが昔から日本人には好まれてきた。桜からすれば、一気に鳥や昆虫を誘い出し、受粉してもらえば、後は実を作るためになるべく体力を温存したい、そのために花を散らし、葉を出し光合成をしたいというのが本音だろう。
そう言えば、先日、天皇、皇后両陛下がご訪問されたパラオのペリリュー島での日本軍の玉砕を知らせる電文は「サクラサクラ」だったらしい。なんとも辛く悲しい話だ。
実は、サクラは花を十分堪能した後は長いリスクが待っている。
この時期は「菜種梅雨」といわれ、度々雨が降る。
冬の間、本州付近を張り出していた大陸高気圧や、移動性高気圧の通り道が北に偏り、高気圧の張り出しの南縁に沿って、冷湿な北東気流が吹いたり、本州南岸沿いに前線が停滞しやすくなったりする。そうすると、南岸に低気圧が発生しやすくなるためだ。
この現象が早かったり、遅かったりで桜の花の咲く時期をうまくかわしてくれればと毎年願っているのだが、今年は最悪のタイミングで桜のシーズンが終わる。
やはり、雨で散らされた花びらの残骸の片づけを考えると、頭の痛い話である。
その上、美しく見せるために役立っていた長い花柄は花の散った後、何日もかけてハラハラと大量に落ち続けるのだ。
そして毎年必ず青葉が出揃えば、長い毛虫との戦いである・・・・・・